「三年山城へ行きたい!」
という依頼を受け、三年山城をメインとした古代山城見学会を企画しました。今回はその備忘録です。
百済軍事博物館
初日。
仁川空港で合流後、忠清南道論山市の百済軍事博物館へと向かいました。
こちらの博物館には、風納里土城、公山城、扶蘇山城のジオラマが展示されている他、古代山城の基本的なこと(テメ式、包谷式など)がわかるパネル展示、武器の展示など、まさに軍事に特化した内容となっています。

百済軍事博物館第一展示室
この博物館の周辺は、階伯将軍遺跡地と言い、唐・新羅連合軍vs百済の最後の激戦地「黄山伐古戦場」とされています。階伯(ケベク)は百済末期の将軍で、黄山伐の戦いで多勢に無勢ながら最後まで抵抗しました。

階伯将軍墓
こちらの博物館・遺跡は、古代史マニア、軍事マニアはもちろん、韓国歴史ドラマ『階伯(ケベク)』をご覧になっている方にもおすすめしたいです。
この日は、論山市内のホテルにチェックイン。
ホテルからほど近い人気デジカルビ店で名物のデジカルビをいただきました。
今夜はデジカルビ! pic.twitter.com/kPIECETOEP
— しろうさぎ (@sirousagi77) December 7, 2018
初日はここまで。2日目から古代山城ツアーが始まります。
論山魯城山城
2日目。
朝食は、前日夜に買ったおにぎりで済ませ、論山市北部の魯城山城へ。
この城は、標高348mの魯城山に築かれた山城で、全長900mの城壁がめぐっています。この日のメインディッシュである聖興山城を見学する前にご覧いただこうと思い、行程に組み込みました。

魯城山城南門
お昼は、聖興山城の麓の町・林川で韓国式中華料理・チャジャンミョンとチャンポンをいただきました。適当に入ったお店でしたが、多くのお客さんで賑わっていました。
聖興山城に行く前に腹ごしらえ
韓国中華
ちゃんぽんとジャジャ麺 pic.twitter.com/do5wJm9qsY— しろうさぎ (@sirousagi77) December 8, 2018
扶余聖興山城
聖興山城は、標高268mの聖興山に築かれた山城で、正式名称は加林城。韓国の山城は城名が分からないことが多いですが、この城は築城年が501年で、百済復興運動の拠点城郭のひとつだったことが史料から窺えます。
この城は、城門左右の石垣が門の袖部分で角張らず円弧状にカーブしている点や、石塁が切石積みである点が魯城山城とよく似ていることから、聖興山城と魯城山城は兄弟城と考えられているようです。

聖興山城東門
この日の山城見学を終え、百済後期の都・泗沘(現在の扶余郡中心部)へと向かいました。
定林寺・国立扶余博物館
扶余の定林寺は、大変有名な古代寺院で、百済時代の五重石塔が今も残っています。この石塔には、百済を滅ぼした唐の大将・蘇定方によって「大唐平百済国碑銘」という碑文が刻まれています。つまり、唐の戦勝記念塔でもあるのです。

定林寺五重石塔
続いて国立扶余博物館へ。常設展では、扶余の城郭、古墳、寺院など、さまざまな遺跡から出土した遺物が展示されています。野外展示物も多く、その中に百済平定戦に従軍した唐の武官・劉仁願の活躍を伝える石碑・唐劉仁願紀功碑があります。定林寺の五重石塔同様、三国時代末期を知る上で重要な石造物なのです。

唐劉仁願紀功碑
2日目の行程を終え、扶余のホテルにチェックイン。
今年の夏にも訪れた韓牛焼肉のお店へ。やっぱりおいしかった!ごちそうさまでした。
今夜は韓国ビーフ
お店のおっちゃんがつきっきりで焼いてくれました pic.twitter.com/30bsa50rb6— しろうさぎ (@sirousagi77) December 8, 2018
翌日は、いよいよ三年山城へ。
〈参考文献〉
金富軾『三國史記』巻第二十六 百済本紀第四 東城王
金富軾『三國史記』巻第二十八 百済本紀第六 義慈王
向井一雄2017「古代山城の年代論」歴史公園鞠智城 温故創生館編『徹底追求!大宰府と古代山城の誕生』